2016年08月31日

たった一人でどうやって造ったのか:コーラル・キャッスルの謎


謎のあらまし

 コーラル・キャッスル(Coral Castle)のことをご存じでしょうか。日本語では「サンゴの城」という意味です。

 このお城は、アメリカ・フロリダの最南端近くにある実在の城で、1923年から1951年にかけて建設されたとされています。このお城を造ったのは、エドワード・リーズカルニン(Edward Leedskalnin: 1887–1951) 。彼が64歳で死ぬまで城の建造は続きました。


  Source: Google Map

 Google Earthで計測すると、コーラル・キャッスルは海岸線から10Km内陸に位置しています。

 このお城の何が謎なのでしょうか。それは、リーズカルニンが誰の助けも借りずにたった一人で巨石を組み上げ、大きな建造物を造ったことにあります。彼はこの城を秘密裏に建造し、作業は真夜中に、ランタンの灯りの下で行われました。作業は彼一人だけで行われ、誰も手伝ったものはいません。

 リーズカルニンは、『ピラミッドやストーンヘンジの建造に用いられた、石を運んで組み上げる古代の秘密を再発見したと』と主張しました。このことから、リーズカルニンは、反重力を操る方法を発見したのだとする憶測が生まれ、彼が残した不思議な装置に注目が集まりました。

エドワード・リーズカルニンとは
 
 エドワード・リーズカルニンは、1887年1月12日、バルト海に面した国ラトビアで生まれました。
 病弱な子供でしたが、26歳の時、10歳年下のアグネス・スカッフス(Agnes Scuffs)と婚約しますが、結婚式の前の晩に婚約者から捨てられてしまいます。

 スカッフスから負ったスカッフ(Scuff)は、擦り傷などではなく、彼の心を深く傷つけました。この痛手を癒やすため、1920年代にアメリカに移住します(注:これらの定説は誤りです。以降で解説します)。アメリカ各地を転々と仕事した後、フロリダ南部の海岸部に腰を落ち着けます。

 以下、「古代文明の謎はどこまで解けたかT」1) より引用します。(出典記事の最後に記載)

 「そしてただ一人、近くで採ってきた石と非常に硬いサンゴ、そしてところどころに材木を使って建造物を造るという、奇妙な営みにとりかかる。リーズカルニンは周囲にめぐらせた2.4メートルのサンゴの壁の中で密かに作業を進め、自分だけの石のワンダーランドを作り上げていった。材木や金属廃材を利用して作った道具や機械を使って、リーズカルニンは30トンにもなる石のブロックをせっせと運んだ。星を観測するための目印として7.6メートルのオベリスクを立て、ゴルディロックスと三匹のクマ(イギリスの昔話)をテーマとした岩屋、フロリダ半島をかたどった巨大な石のテーブルとロッキングチェア、さらには − いつか恋人が思い直して自分と結婚してくれる気になったときのために − 二つのベッド、ゆりかご、子供たちのための小さなベッドのある、手の込んだ寝室を造った。とくに見事なのが入口の扉で、9トンもある一枚岩が重心で支えられており、ごく軽く触れただけで開くようになっている。(pp.250-251)」

Coral_Castle_gate0.jpg
 軽く押しただけで開く重さ9トンの石の扉  Source: http://www.coralcastle.com/9tonbig.htm

 リーズカルニンは、結核を患ったことから、治療のため季候のよいフロリダに1923年頃定住し、公園のようなものを作り始めます。この頃は『ロック・ゲート公園』と呼んでいたようです。その後、1936年、16Km離れた現在の場所に引越をしました。引越の理由は秘密を守るためとか諸説あるようです。

 結核に磁気の治療が有効だとの噂から、磁気について勉強したようです。

 引越にあたり、1100トンにのぼる石材を3年がかりで運んだと言われています。引越後、リーズカルニンは、64歳で死ぬまでコーラル・キャッスルを造り続けます。

コーラル・キャッスルとは

 コーラル・キャッスルの全景は下の写真のようになっています。城といっても、大きな建物はなく、写真右上の建物が最も大きなもので、住居兼道具室になっています。これ以外は、塀と庭の中の彫刻のようなもので構成されています。城と聞くとヨーロッパのノイシュヴァンシュタイン城のような尖塔がいくつもある城を思い浮かべますが、その意味では期待外れです。

Coral-Castle_Panoramic_View.jpg


 「1951年にリーズカルニンが死ぬと、秘密もいっしょに失われた。誰の手も借りた形跡がなく、たった一人でこれほどの驚くべき作業をどうやってやり遂げたのかはいまも謎だ。(前掲書p.251)」

どうやって造ったのか

 数トンもある岩を積み上げるには、機械が必要と考えられますが、リーズカルニンは、大型重機などは一切使わずに、そして、誰の手も借りずにたった一人で城を造りました。

 「近所の人たちは何度も新聞やテレビの取材を受けたが、リーズカルニンが実際に作業をしているところを見た人は一人もいなかった。こっそり覗こうとしてもうまくいかなかった。 − リーズカルニンは除かれていると第六感で分かるようだった。(前掲書p.251)」

 ここでの謎は大きく三つあると思います。
1.一つは、たった一人で巨石をどうやって積み上げたのか。
 大部分の岩は5トンの重量があり、最も大きなものは30トンもあります。どのような作業にしろ、補助してくれる人が必要に思います。 

2.二つに、巨石を移動し、積み上げるのはどうやったのか。
 最大30トンもの巨石は、動かすだけで容易なことではありません。さらに、それをきれいに配置するには、高度な技術が必要になります。

3.三つ目は、使われた作業工具(Hand Tool)はどのような構造だったのか。
 
 この城は1930年代以降に造られています。古代のピラミッドのように機械がなかった訳ではありません。

 彼は大型重機は使わなかったのですが、中古の大型トラクターを購入し、パーツに分解、そのエンジンを使ったようです。また、重量物を簡単に持ち上げることのできるチェーンブロックも既に開発されていました。

 なぁ〜んだ。謎は解けているじゃないか! そう思ってしまいますが、実はこの謎はそんな簡単なことではないのです。

 高い位置まで石材を持ち上げるためにはチェーンブロックが使われたようです。そのためには巨大な三脚が必要になります。その三脚はどうやって設置するのでしょうか。人がたくさんいれば比較的容易に設置できるでしょうが、"たった一人"で設置するのはかなり難しい。

 この答えを以下の動画が示しています。


   Source: YouTube "Eds Coral Castle Quarry and Flywheel, Engineering Mystery Solved"

 どうやら、たった一人でも三脚を立てることができるようです。これって、結構すごい!

 どうやって、彼は初歩的な道具だけでこの偉業を成し遂げたのでしょうか。

 そのヒントとなるのが、リーズカルニンが著した冊子「The Magnetic Current」です。


Coral Castle: Mystery Solved

リーズカルニンが残した謎の冊子「The Magnetic Current」

 リーズカルニンは、51ページからなる冊子「The Magnetic Current」を残しました。この中で、磁気、磁流についての説明がなされているのですが、内容的には意味不明です。ざっと読んでみましたがさっぱり分からない。

Magnetic Current Cover Page


 この「The Magnetic Current」は、PDF版で読むことができます。関心のある方はダウンロードして読んでみてはいかがでしょうか。PDFファイルはいくつかのサイトで公開していますが、下のリンク先のものが文字認識されているので、機械翻訳にかけるには適していると思います。

 『Edward Leedskalnin, ”The Magnetic Current” 1945

 
magnetic_meca01.jpg
  Source: Sayslife's Blog

情報がボロボロ

 「コーラル・キャッスルの謎」について書こうと思った時、どうもうさんくさい話だと思いました。お話しができすぎているのです。誰かが意図的に作り上げた謎のように感じました。

 最初に、彼に関する情報がいかにいい加減なものかを示しましょう。

 書籍「古代文明の謎はどこまで解けたかT」の記述に誤りがあります。つまり、定説に誤りがあるのです。

 この本には、彼の身長を150cm(5フィート)そこそこだと書かれています。また、体重は45Kgと小男だったかのような書き方をしていますが実際は違います。多くのサイトでこの情報がコピーペされています(コーラル・キャッスルの案内板がそもそもこの記述になっています)。

 実際の彼の身長は170cm(5フィート7インチ)で、体重は54.4Kg(120ポンド)。これは、彼の入国書類の記載内容や帰化証明書(Certificate of Naturalization)から確認できます。決して小男だったという訳ではないようです。ネット上にある彼の写真を見ても小男ではないようです。

 彼がアメリカに着いたのは1912年4月6日のこと。ドイツ経由でアメリカに入国しました。本に書いてある「1920年代にアメリカに移住」した分けではありません。これも意思表明書類(Declaration of Intention)で確認できます。

 ちなみに、彼の職業は石製家具職人になっています。

Docu_Ed01-min.png


 リーズカルニンの家族は1905年にロシア帝国の当時の首都サンクトペテルブルクで起きた「血の日曜日事件」の後にラトビアを離れ、リーズカルニンも1910年にラトビアを後にしています。
 
 このように、基本的な部分で真実とは大きく異なっている記述が見られます。

  リーズカルニンが「Ed's Sweet Sixteen」と呼び、本名を書かなかった、彼を捨てた元婚約者の名前アグネス・スカッフス(Agnes Scuffs)も違います。彼女の名前は、エルミン・ルシス(Hermine Lusis)です。彼女は10歳年下でも16歳でもありませんでした。彼女は彼より2歳年下でした。

hermine_lusis01.jpg


 リーズカルニンとエルミンとの婚約が破談になった原因は、彼女の父親が結婚の条件として要求したお金を持っていなかったからのようです。(出典6)参照)

 いつの日か、自分を捨てた婚約者が戻ってくることを願ってコーラル・キャッスルを造り続けたリーズカルニン、というロマンチックなストーリーはいかにもアメリカ人が好きそうです。

 リーズカルニンの死後、マイアミ市がHermine Lusisを招待したが彼女はコーラル・キャッスルを訪れることはなかった、との記述も目にしましたが、残念ながらその原典を確認することができませんでした。できすぎている話は怪しい。

 リーズカルニンは誰にも見られないように夜中に作業をしていた。そんなの当たり前でしょう。昼間は仕事をしていないと食べていけない。移民である彼の生活は決して楽ではなかったはずです。趣味の城造り作業は夜中しかできません。日中は石の家具造りの職人。ここら辺を誰も調べていないのが不思議です。反重力装置を調べる暇があるのなら、リーズカルニンが製作して売却した石の彫刻を調べるべきだと思います。

 コーラル・キャッスルの謎は、浅い歴史しか持っておらず、歴史的遺物が少ないアメリカの人たちがセンセーショナルな話に仕立て上げるためにねつ造したもののようです。 

 リーズカルニンはコーラル・キャッスルを長い年月をかけて、石鋸を使って石材を切断し、チェーンブロックと動滑車でそれを持ち上げるという普通の方法で造った。これが結論のようです。未知の技術などどこにも必要がありません。それが必要なのは、ミステリーだと騒ぎ立てる人たちばかりのように思います。

Leedskalnin 石材の吊り上げ


 そもそも、この謎の目玉である"たった一人で造った"という内容は証明されていません。作業の一部で人を雇った可能性も十分考えられます。すると、謎などどこにもないことになります。

 上の写真で、三脚の最上部にボックスが見えます。これを反重力装置だといって騒いでいる人がいますが、もし、反重力装置があるのであれば、三脚も、チェーンブロックも、動滑車も必要ないことになります。

 世界の謎が大好きな管理人にとって、「コーラル・キャッスルの謎」はいまいちつまらない。やはり、歴史の浅い、嘘つきの多いアメリカにある謎は要注意だと思いました。

参考資料

1) 「古代文明の謎はどこまで解けたかT」、ピーター・シェイムズ、ニック・ソープ著、太田出版、2002、pp.250-252
2) CORAL CASTLE MUSEUM
3) "Broken Hearted Mystery in Homestead",Sayslife's Blog
4) energetic forum
5) Magnetic Universe Forums
 ここのフォーラムはかなり盛り上がっています。
6) Edward Leedskalnin, "A Book in Every home", 1936


posted by ネコ師 at 00:12 | Comment(2) | 古代の謎・歴史ヒストリー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年08月02日

大ピラミッド建造方法の謎を解明する


 ギザ台地にそそり立つ大ピラミッド。4500年前にフ王により建造されたとされ、その4つの面は正確に東西南北を向いています。

Pyramid_direction.jpg
      Source: Google Earth

 なぜこれほどまでに正確なのか。古代エジプト人は、現代人の知らない高度に発達した科学技術を持っていた。

5 K piramid0017.jpg

     撮影:ネコ師

 よく聞くフレーズです。でも、人の話は疑ってかかりましょう(笑)。

 「未知の技術」って、あなたが知らないだけじゃないの? 高度に発達した技術って、自分の知らないことについて、そう思い込んでいるだけじゃないの?

 このようなテーマに対して、テレビで有名大学を出ている連中がおバカなことばかり言って大衆をミスリードしているように感じます。
 
 今回は、クフ王のピラミッドの造り方についてのなぞの解明です。簡単な道具だけで、正確無比に東西南北を向いたピラミッドのベースを設定する方法をご紹介します。小学生レベルの算数でできる方法です。

 (建造の謎については、過去記事『世界遺産 大ピラミッド建造の謎の解明に挑む』および『クフ王のピラミッド:各層の石材の大きさに驚くべき秘密が?!』で、別の視点から紹介しています。) 

大ピラミッド底面ベースの造り方

1.基礎岩盤を均し、水平にします。
  水平にするには、ピラミッドのベースとなる岩盤部分をメッシュ状に細長い溝を掘り、そこに水を流し入れ、水が乗らない高い部分を削り取るという作業を繰り返します。

2.水平な基礎ができたら、次は基準線を設置します。
 下のような簡単な構造の見通し器(アリダード、示方規)を使います。

Pyramid_Square_Base007.PNG


Alidade.gif
Source: Wikipedia


 手前の小さな穴から覗き、奥に張られた赤い糸と北極星が重なるように器具を動かします。つまり、小さな穴から赤い糸越しに北極星を見通す。これで、真北を指し示す基準ラインができます。

3.作業員が基盤面の中央付近に立ち、2.の見通し線上に乗る位置まで移動します。
 ピッタリの位置に来たらそこを「O点」とします。これが円の中心、かつ、ピラミッドの中心になります。

Pyramid_Square_Base001.PNG


4.長さRのヒモを用意し、O点を中心とする円を描きます。

Pyramid_Square_Base002.PNG


5.描いた円周上で、見通し線と交わる箇所をN点、およびS点とします。
 また、O点を通り、基準線に直角な線を描き、円との交点をE点、W点とします。

Pyramid_Square_Base003.PNG


 どうやって、直角を正確に設定するか。これには、「3:4:5の三角形」の原理を使います。長いヒモを用意し、ある基準長さ(なんでも良い)を1とし、その長さの3倍、4倍、5倍の位置に印を付けます。そして、ヒモを引っ張り、印の位置を頂点とする三角形を作ると、直角三角形ができます。

 次に、誤差をキャンセルします。
 同じヒモを使い、最初に付けた印の順番とは逆の順番でヒモに印を付けます。つまり、5倍、4倍、3倍という順番で印を付けます。そして、上と同様に三角形を作り、東西方向を示す前回のラインとの誤差を確認します。前回ラインと今回のラインの平均が最も誤差を小さくできるラインになります。

 上の記述では2回しか測らないように思われますが、実際にはそれぞれ、10回、あるいはそれ以上数多く測定することで誤差を小さくすることができます。

 ヒモを使うため、ヒモの伸びが生ずることから必ずここで誤差が発生します。誤差をキャンセルするには、上で書いた方法が一般的でしょう。
 
6.次に、円周上のE点、W点を通る基準線と平行な線を引きます。
 基準線を引く時と同じやり方です。星は無限遠の距離にあるので、星を見通せば平行線を簡単に引けます。

Pyramid_Square_Base004.PNG


7.同様に、N点、S点を通る東西方向の平行線を引きます。

Pyramid_Square_Base005.PNG


8.引いた平行線をつなげば作業終了です。
  後は、検証作業。正確な正方形になっているか確認し、誤差がある場合は、誤差をキャンセルする作業を繰り返します。正方形の1辺は2Rになっている筈です。

Pyramid_Square_Base006.PNG


 見通し器(アリダード)の大きさは、長さが1m程度必要でしょう。長いほど誤差が小さくなります。しかし、長すぎると糸が見えない。なにしろ、星が出ているのは夜なので。

 これで、驚くほど正確に東西南北を向いたピラミッドのベースができます。
 高度な科学知識などどこにも使っていません。

 そして、当然ですが、半径Rの円に外接する正四角形なので、そこにはπ(パイ)の要素が入ることになります。πを知っていなくともこのような方法で作図するとπの要素は自ずと入り込むことになります。

 計算してみたら、限りなく円周率(π)の値に近づいた。古代エジプト人はπの概念を知っていた!
 これもよく見かける記述ですが、嘘っぱちなことが分かると思います。図解法で解いた値を見て、数値解法で解いた値とこれを比較し驚異的精度!と言っているようなものです。

 この手の記述をする人は、権威付けするために有名な数学者、建築家が計算した結果・・・、のような書き方をしますが、それは何世紀前のことなのでしょうか。出典の学者はその後、自説を修正していないのでしょうか。

ピラミッドのサイズに見られるπ(パイ)の謎

 ピラミッドの4つの底辺の和を高さの2倍で割ると円周率「π」の値に近い数字になります。
 これはイギリスの数学者ジョン・テイラー(John Taylor)が発表したもので、古代エジプトで円周率の考え方が知られていたと考える根拠になっています。

 さらに、テイラーは、ピラミッドの底辺と高さは、地球の円周と半径の関係に相当すると考え、「大ピラミッドは地球の寸法を記録するために建てられた」という説を最初に唱えた人でした。

 確かに、円周率に非常に近い値になり、とても偶然で起きるようなことではありません。

 大ピラミッドの底辺: 230.37m
         高さ: 146.59m

Pai_Pyramid01.png


 やはり、古代エジプト人は円周率を知っていて、高度な計算により大ピラミッドを造った・・・ように見えます。

 しかし、上の式をよく見ると、別の見方もできるのではないでしょうか。
 「4つの底辺の和を高さの2倍で割ると円周率になる」

 上で示した事例を基に考えて見ましょう。以下の記述内容は、たぶん誰も見たことがないと思います。管理人ならこう考える、というバージョンなので。

 底辺の一辺は2Rです。4辺の和なので8Rになります。
 高さをHとすると、8R/2H=π という関係のようです。この式を変形すると、ピラミッドの高さは、次のように表されます。

 H=R/π

 ところで、半径Rの円周の長さLは2πRです。(L=2πR)
 これを上の式に代入するとピラミッドの高さは、H=L/2 というシンプルな式で表すことができます。

 つまり、ピラミッドの高さは、半径Rの円周の長さの半分ということになります。ヒモを円周上に置き、そのヒモを半分にしたものがピラミッドの高さと言うことです。この方法を採れば円周率の計算は不要です。円周率を知らなくとも大ピラミッドを造ることができます。

 管理人は、大ピラミッドの設計、施工はすべて図解法で考えるべきだと思っています。その理由は精度があまりにも高いためです。これを円周率や三角関数を用いた数値解法で解くと、必ず大きな誤差が発生します。それは有効数字の取り扱いが難しいためです。図解法ならその誤差はゼロになります。

 誤差が小さい、ということは、円周率は使っていないという証明になるのではないでしょうか。もし、円周率にこだわるとするのなら、円周率の有効桁数は小数点第何位なのか明示する必要があります。

 現代の数学者ならば、テイラーの仮説を一笑に付すでしょう。現代の数学者で大道芸人でもあるピーター・フランクルが、数学的に偶然の一致であるにもかかわらず、あたかも意味があるかのごとく説明する偽理論をテレビでやんわりと批判していました。

 ジョン・テイラーが著書『大ピラミッド――それはなぜ建てられたか? だれが建てたか?』を発表したのは1859年のこと。今から157年も前のことです。その情報だけが一人歩きをして、現代でもそれが正しいものであるかのごとく引用している人がいます。他人の文献をコピーペするだけでなく、少しは自分で計算したらと言いたいですね。

 1859年といえば、日本では、京都で和宮降嫁についての折衝が行われていた時期です。こんな昔の、現代から見ればお笑いとしか思えないような仮説を現在でも通用する仮説であるかのようにもっともらしく紹介しているサイトを見ると・・・・・ページを閉じます。

施工管理はどうやったのか

 大ピラミッドは正四角錐の形をしており真正ピラミッドと呼ばれています。底盤は正確な正方形になっています。

 このように規則的な形状をしているため、造るのは簡単そうに思えますが、それはサイズが小さい場合のこと。大ピラミッドのように巨大なサイズの場合、どうやって正確に石材を積み上げたらよいのか途方に暮れてしまいます。

 なぜ難しいのか。それは、ピラミッド表面の傾斜角が場所によって異なるためです。
 下の図を見れば分かると思います。

rula02.png


 一般に、ピラミッドの傾斜角とは、図の角Tmn(θ2)のことを指すようです。ところで、線分TBが底面となす角θ1は、θ2とは違った角度になっています。θ1が最もきつく、θ2が最も緩い角度で、それ以外の場所ではこの2つの角度の間の角度になります。

 さて、このような場合、どうやって次の段を積めばよいのでしょうか。

 大ピラミッドは頂上のキャップストーンを含めて210段でできています。
 下のGIFアニメをご覧下さい。全体で9段で作りました。これが大ピラミッドとするならばGIFアニメの1段が大ピラミッドの23段分に相当します。

Pyramid_const02.gif


 大ピラミッドは水平に積んでいったと考えられます。その理由は簡単。外側の傾斜角をそろえるのがとても難しいから。上のGIFアニメでもきれいな傾斜角度になっていません。

 サイコロのような同じ大きさの石材なら積むのは楽ですが、上で書いたように、大ピラミッドの各段の高さはかなりばらつきがあります。実はこれがくせ者。ピラミッドの傾斜角を正確に保ちながら石材を積んでいくために、石材の高さに応じて下の段よりも内側に引っ込める長さを変える必要があります。

 しかも、各段の石材の高さは、同じ段であっても場所によって異なります。
 ピラミッドの『面』をそろえるために、見通しを利用したと考えられます。このため、ピラミッドの各面の延長線上に見通しができる櫓(やぐら)を組んだと思います。

 問題は、傾斜角の確認方法です。『面』を一直線上にそろえるのは見通しでできますが、そこに並ぶ石材の高さはまちまちです。これでは正しい傾斜角度で積めません。つまり、『面』を一直線上にそろえてはダメなのです。 

 ずっとこの問題を考えていたのですが、ふと、次のことに思い至りました。

大ピラミッドはなぜ八角形なのか

 なぜ、大ピラミッドは上から見ると八角形なのか。
 「えっ、何を言っているの? 上から見たら四角形じゃん!」 

 大ピラミッドを上から見ると、四角形ではなく、実は、八角形の形をしています。大ピラミッドの様々な寸法を数秘学の点から述べている論文はこのことを完全に無視していますが。

 確かに、大ピラミッドはとても正確に造られた構造物です。それなのに正四角錐ではない。各辺の中央部分がピラミッドの内側に入り込んだような形をしています。

Great-Pyramid-Octagon02.jpg


Pyramid_Octagon.png


 これは航空写真で見てもほとんど気がつかないほど微妙な形状の変化です。現地で大ピラミッドの前に立っても、そのような変化点があるなど全く気がつきません。

 なぜ、このような形をしているのか。「特定の日に太陽の影がピラミッドの面を照らした時に影ができる。」 そのようなことを言い出す人がいます。チチェン・イッツアのピラミッド「エル・カスティージョ」と混同しているようです。「エル・カスティージョ」はピラミッドの向きがそのように設計されていますが、大ピラミッドは正確に東西南北の方向に向いています。

 この八角形の謎は施工面から説明できないのでしょうか。
 管理人は、施工誤差からこのようになったのではないかと考えました。

 下の図をご覧下さい。少し歪な図になってしまいましたが、線分POは鉛直で、底面と直角に交わると考えて下さい。

Pyramid_Octagon3.png

 ピラミッドの斜面の長さは場所により異なります。また、底面の正方形も誤差があります。これを加味して斜面長を算出します。
 
位置長さ(m)
Pa, Pc186.3714
Pb, Pd186.3648
PB, PD219.0571
PA, PC219.1208


 斜面長は、最大で219.1208m、最小で168.3648mです。これ以外の場所の斜面長は、この値の間になります。これを上回ることも下回ることもありません。

 管理人が考えたのは、施工段階で測量する場合の固定点についてです。
 上で述べたように、中心点Oを基準に全ての寸法が測定されます。従って、中心点Oは施工中であってもその位置は確保されていたと考えます。つまり、O点に芯柱を立て、盛り立てが進んでも芯柱を上に伸ばし、O点の位置をキープしていた。

 日中の作業が終了し、夜になると測量が始まる。底盤の測量と同じ要領でO点と各段の四隅の位置、東西南北の縁の位置を正確に決める。これにより、これらの位置はとても正確に保たれる。しかし、中間地点は若干の誤差が発生する。

石材をどうやって上まで運びあげたのか

 もう一つ、八角形になっている理由として考えられるのは、石材を積み上げる過程で、荷重がかかり、内側に引っ込んでしまったということ。

 各段を積み上げた時は正規な位置であったが、その後、横方向の荷重が加わり、内側に引っ込んでしまった。

 そう考えることもできます。では、その時の「横方向の荷重」とは一体何だったのか。
 それは、以下の図を見れば分かるのではないでしょうか。

Pyramid_Octagon5.png


 ある程度の高さまで盛り立てた後は、ピラミッドの東西南北の面を使って、『釣合重り』のように石材を持ち上げる。

 ピラミッドの表面は鏡のように磨かれた化粧板石で覆われています。この化粧石盤はピラミッドの完成後、最後に貼り付けた訳ではありません。そのような施工はできません。それをやる方法がないのです。

 ピラミッドの各段は化粧石を貼り付けた完成形にまで仕上げたことは間違いないでしょう。

 この『釣合重り』の一方には運び上げる石材、もう一方には運び上げる石材より少し軽い石(重石)と作業員が乗ります。数人の作業員が重石として乗ることで釣り合いが崩れ、石材が上まで運び揚げられます。

 この釣合重りの装置は、南北方向と東西方向の2箇所にあったのでしょう。
 ピラミッドの斜面表面には化粧石盤が貼られ、表面はとてもなめらかで摩擦抵抗はとても低い。この方法で問題となるのはロープと滑車の強度くらいで、とても現実的な方法だと思います。

 ところで、この方法で石材を持ち上げていくと、斜面に水平方向の偏圧がかかります。
 毎日、膨大な量の石材を斜面を滑らせてリフティングするうちに、偏圧の影響で斜面が徐々にピラミッドの内側にめり込んでいく。ただし、その量はわずかなもの。石材は基本的に伸縮しないので、めり込んだのは石材同士の隙間が詰まったからでしょう。

 このような仮説を提示しておきながら、自らこの仮説の問題点を指摘しておきます。釣合重りの装置を使うには、上図のように基盤面を深く掘り込んだピットが必要となります。

 大ピラミッドの南面の直ぐ近くから太陽の船が発見され、現在、博物館になっています。その位置はまさにピットの位置にあたります。ピットの穴を拡大して太陽の船を収納したようにも思えます。

 ところが、他の面ではこのような痕跡は見つかっていません。
 大ピラミッドを訪れた観光客は、通常、北側の駐車場に車を止め、北側にある入口からピラミッドの中に入ります。しかし、北側にはピットの痕跡はなく、岩盤がむき出しのように見えます。

 ピラミッドの南側から最初の太陽の船が見つかったのは1954年のこと。1987年頃に、二つ目の太陽の船が最初に見つかった船の少し西側から発見されています。このように、ピラミッドの足下はまだまだ調査されていないことが分かります。もし、ピットの跡が確認されれば、この仮説が有力になると思うのですが。

おわりに

 
 大ピラミッドは驚くべき構造物であることは間違いありません。しかし、現代から見れば当たり前で驚くような事柄ではないような内容を「驚くべきこと」として紹介している記事がネット上に散見されるので、この記事を書いてみました。

 大ピラミッドに対する評価の視点が誤っていると感じています。本当に驚くべきことは別にあります。



posted by ネコ師 at 00:28 | Comment(0) | 古代の謎・歴史ヒストリー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年07月12日

クフ王のピラミッド:各層の石材の大きさに驚くべき秘密が?!


 最初に書きますが、この記事は書きかけです。とても長くなるので途中段階でアップします。この記述が消えた時点を最終稿とします。

 
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 ギザ台地にそびえ立つ大ピラミッド。管理人が初めてその前に立って感じたことは、やはり『でかい』ということでした。

 次に感じたのはピラミッドの傾斜が思っていたよりもきついということ。眼前に迫る大ピラミッドは、まさに「そびえ立つ」という言葉がピッタリです。

2 K piramid0001.jpg

   Photo: Nekoshi, なんでも保管庫

 大ピラミッドは、建造者の名前から「クフ王のピラミッド」、あるいはギザ台地の三つの大きなピラミッドの中でも最も大きい第一ピラミッドとも呼ばれています。

 大ピラミッドについては、その内部構造や建造方法など未だに多くの謎に包まれており、世界中から最も注目を集めている歴史的建造物の一つと言えるでしょう。

 大ピラミッドの建造方法については以前の記事で書いたので、今回は全く別の視点から大ピラミッドの謎について書きたいと思います。

Construction_Grate_Pyramid001.jpg


 その視点とは、『石材の大きさ』です。
 「あぁ、それなら知っているよ。最下層が高さ1.5m、最上部が50cm程度で、上に行くに従い使われている石材の大きさが次第に小さくなるんだよね。」と思った人も多いのではないでしょうか。

Grate-Pyramid


 その情報は「嘘」です。定説は疑ってかかりましょう。

 大ピラミッドが現代人にとって魅力的なのは、あのような巨大な建造物をどうやって造ったのか、また、4500年も前の構造物がなぜ崩壊もせずに現在まで残っているのか、など現代科学でも解けない、あるいは説明できない未知の部分が多く残っているからでしょう。

 大ピラミッドについて、書籍やネットで見かける記述は『驚くべき精度で造られた』や『誤差がほとんどなく』、『ピッタリの数値』など、ピラミッドが緻密な設計の元に造られ、現代科学から見ても驚くべき精度で造られているというものでしょう。でも、それって本当でしょうか。

 そのような主張をしている人たちに聞きたいのは、『有効数字はどう考えているのか』ということ。大ピラミッド建造時に使われた基本尺、1キュービットをセンチで表した時の有効数字は小数点第何位までなのか、ということ。この議論を抜きに精度の話はできません。有効数字による誤差の検定抜きに『驚くべき精度』など言える訳がありません。

大ピラミッドの諸元

 先ずはじめに、大ピラミッドの構造諸元を整理しておきましょう。数値は、高さ、底辺についてはWikipediaを用いますが、それ以外は計算で算出しました。

 
Grate Pyramid Index


 この算出根拠は、過去記事「世界遺産:ギザの三大ピラミッド(Giza Necropolis その2)」をご覧下さい。

 石灰岩の比重を2.6としている人がいますがそれはない。比重2.6の岩がどれほど重いものなのか知らないで書いているようです。なお、わかりやすく比重と書いていますが、実際には単位体積重量(t/m3)です。その違いが分かりますか。岩石の粒子の重さはここでは役に立たないので、単位体積重量を用います。そもそも比重では大ピラミッドの重量は計算できません。

 大ピラミッドの正確なサイズの測定は、W.M. Flinders Petrieによって行われ、1883年に"The Pyramids and Temples of Gizeh"という彼の書籍で公表されました。

 後になって、J.H. Coleが専門的な調査を行い、その時の計測結果は、1925年、カイロのGovernment Press誌発行の書籍"Determination of the Exact Size and Orientation of the Great Pyramid"で公表されました。

 これらの計測データの多くは、1977年、Peter Lemesurierによる"The Great Pyramid Decoded"に収録されました。(出典1)

大ピラミッドの石材の大きさの謎

 大ピラミッドに使われている石材の大きさは、上で示したように、平均で一辺が0.95cmの立方体であろうと推測されています。

 大ピラミッドは現在、頂上が201段目で、その上に202段および203段目の石材の一部が残っています。このため、現存する大ピラミッドの段数は201段という値が一般的です。全体では210段であったと推測されています。

 現在の頂上201段目の石材の高さは56.4cm。基底部である1段目は148.8cmです。
 大ピラミッドの一段目に使われている石材は大きなものが用いられており、頂上付近には高さ50cm程度の小さな石材が使われていることから、頂上に行くに従い、小さな石材が使われた、・・・と思い込む人がいるようです。

 「一を知って十を知る」と粋がっているのでしょうか。
 発想自体はよいのですが、それは検証しなければ単なる憶測に過ぎません。この検証のプロセスをすっ飛ばして持論を展開する人がいるので、多くの人が欺されてしまいます。

 大ピラミッドを構成する全201段の石材のそれぞれの高さは、実際にはどうなっているのでしょうか。

管理人も欺された『世界ふしぎ発見』の描写

 2015年3月14日に放映された『世界ふしぎ発見』で、クフ王のピラミッドに登頂し、頂上からのリポートに成功した、という内容の番組が放送されました。

 ピラミッドの登頂は、遺跡の保護と安全確保のため1983年禁止されており、それ以来、エジプト政府の許可を得て日本人と日本メディアが登るのはこの時が初めてなのだそうです。エジプト考古学者の河江肖剰氏がエジプト政府の許可を得て大ピラミッド登頂が実現したようです。

 番組では、大ピラミッド頂上の様子や、そこからの展望が撮されており、かなり貴重な映像だったと思います。

 番組の中で、河江肖剰氏が各段の石材の高さを計測しながら登っていく様子が映し出されています。よく覚えていないのですが、このように各段の高さを緻密に計測するのは初めてだとのコメントがあったような気がします(うろ覚えなので間違っているかも)。

 この計測シーンを観ていて管理人が感じたのは、・・・いつものように誤差についてでした。「おいおい、こんな荒っぽい測定方法では水準測量の計測誤差と視準誤差が大きくなり、データが使えないよ!」。このような計測方法では、石材の高さを合計してもビラミッドの高さにはなりません。あくまでも各段の石材の大きさの測定です。

 (ここでことわっておきますが、管理人は河江肖剰氏のファンです。番組を観ていて、河江氏の人柄に惹かれファンになりました。その後、ナスジオの記事も読み、熱烈なファンになりました(笑)。)

 河江肖剰氏の計測方法では、データとして使えない。これが管理人が番組を観ていて感じたことでした。でも、大ピラミッドの場合には高さが正確に計測されているため、誤差をキャンセルする方法もあるので、この計測方法でもミリ単位の精度は出せそうです。

 河江肖剰氏が計測した生データをネット上で探したのですが見つからない。公表されていないようです。

 大ピラミッドの各層の高さはどのようになっているのだろう。興味が湧きます。しかし、ネットで探しても見つかりません。

 ふと、「計測データがないなんて、やはり、おかしい!」と思いました。大ピラミッドについては様々な計測がこれまでにも行われているはずです。ピラミッドの各段の計測データがない筈がない!

 そこで、英語で検索すると直ぐに見つかりました。これまでに二人の研究者が大ピラミッドの各層の石材高さに関する詳細な計測データを残しているようです。以降、このデータを用いて、大ピラミッドにおける各層の石材の大きさの違いの謎に迫りたいと思います。

大ピラミッドの各段の高さはどうなっているか

 大ピラミッドの各段のサイズをグラフにしたものが下の図です。横軸が1〜201段までの段数、縦軸が各段の石材の高さを表しています。

pyramid stone size


 このグラフから読み取れる情報としては、以下のような内容ではないでしょうか。
@ ピラミッドの高さが高くなるにつれて、次第に石材の大きさが小さくなる分けではなく、所々で急激に大きくなり、その後だんだん小さくなる。この繰り返しが見られる。

A 段の途中で石材サイズが急激に大きくなるケースは10ヶ所以上確認できるが、だんだんと大きくなるというケースはない。

B 全体的に見れば、上にいくにつれて石材サイズが小さくなる傾向にある。

 以上の特徴から、各層の石材サイズは偶然そうなったものではなく、計画的に変えられているように見える。
 全201段の平均高さは68.4cmです。この平均値を超える段数は71段で、残りの130段は平均値以下の高さしかありません。

 石材のサイズは、どの大きさが一番多いのか、サイズ別の分布を調べてみましょう。
 これは度数分布で見てみましょう。

 ここで、元データの補正を行います。現在のピラミッドの高さは、201段目で138.74mとして算出します(この値が203段目(つまり現存する石材の最大高さ)の高さの可能性もあり)。元データにおける各段の累計値は137.47mであり、1.27mの差があることから、これを各層の値に按分する。

 石材高さの最大のものは1段目の150.2cm、最小値は171段目の50.0cm。
 度数分布表から分かるのは、石材のサイズが50cmから100cmというレンジに集中しており、高さ1mを超える大きな石材はわずか9段に使われているだけで、ほとんどないということです。さらに、1m以上の石材の段を除いた石材高さの平均値は65.7cmになります。

 最も多く使われているレンジは、50cm〜80cmまでで、全体の81%がこのサイズに収まります。
 石材のサイズは、概ね50cm〜80cmで切り出したということでしょうか。大ピラミッドのサイズの正確さを考えると、"概ね"という概念は当てはまらないように思います。つまり、50cmの石材は50cmとして切り出した。80cmの石材は80cmとして切り出した、ということです。

 もしそうであるならば、各段ごとの石材の高さの違いは、厳密に設計通りだったと考えることができます。そして、繰り返し現れる突然サイズが大きくなるという特徴についても、何らかの理由がありそうです。

範囲a範囲b度数
0100
10.1200
20.1300
30.1400
40.1500
50.16075
60.17055
70.18033
80.19014
90.110015
100.11104
110.11201
120.11303
130.11400
140.11500
150.11601
TOTAL201


ピラミッド単位キュービット

 キュービットという単位が頭をよぎります。大ピラミッドの各部位の計測結果から1キュービットは0.5236mとされているようです。大ピラミッドの各サイズを説明するのに便利なことから、この値を基準に大ピラミッドが建造されたと考えられています。(管理人の計算結果では、1キュービット=0.5235mとするとピラミッドの大きさが整数の値になります。)

 例えば、大ピラミッドの傾斜路の幅は1.04mですが、これは2キュービットになります。また、ピラミッドの底辺は正確に440キュービット、高さが280キュービットになります。

古代の石切の技術

 石材の切り出し誤差はどのくらいでしょうか。それを知るには石材の切り出し方法を考える必要があります。

 日本で石切の技術が急速に発達したのは、城の石垣造りが始まった戦国時代と考えられています。それ以前は、自然石をそのまま利用した野面積みや土塁でしたが、織田信長の築城に石垣が使われるようになり、くさびを打ち込んで石を割る方法が用いられるようになります。これにより、石切場から自由な大きさに石材をカットできる技術が急速に発達したようです。

 戦国時代と言えば16世紀。もっと以前に石切の技術はなかったのでしょうか。
 実はありました。奈良県橿原市白橿町にある花崗岩の巨大な石造物『益田岩船』がその好例です。

 この巨石は、東西約11メートル、南北約8メートル、高さ約4.7メートル(北側)の台形状で、重量は約160トンと推測されています。

Masuda_no_Iwafune.jpg

Source: Wikipedia, 「益田岩船

 この巨石は、古墳の石室として使うために切り出されたものの、亀裂が入ったために放置されたという説が有力なようで、テレビの番組でも採り上げていました。

 160トンの岩を500mほど離れた場所にある古墳を建造する場所まで運ぶつもりだった分けで、巨石の切り出しよりも運搬技術の方が注目されます。

 写真からも分かる通り、石切の技術は優れており、センチ単位の加工が可能であったことは間違いありません。もちろん、この巨石は5、6世紀頃のものと考えられるので、大ピラミッド建造の時代とは大きくかけ離れていますが、石切の技術自体は同様な方法が採られたようです。

 石を切るには、「石の目」を読み、それに沿う形でライン上に数個のくさびを均等に打ち込んでゆき、切り出す石の自重を使って、くさび周辺のひび割れを切り出しライン沿いに導き、割る。

 瀬戸内の石切場の作業状況をテレビで見ましたが、概ね上で述べた方法で石を好きなサイズに切り出すことができるようです。日本の石切場では鉄製のくさびが使われていますが、エジプトでは、木製のくさびを打ち込み、それに水をかけて木の膨張力を使って石を割ったそうです。

石材の高さとステップ

 大ピラミッドの石材の高さが各段で大きく異なる。さらに、上に行くに従いだんだんと小さくなる訳ではなく、突然大きなサイズになる。それが周期的に起きているように見える。

 これは、どう解釈すればよいのでしょうか。
 実は、石材の高さが高いということは、ステップが広いということを意味します。

 下の図で説明します。

 大ピラミッドの大きさは、底辺と高さが決まっています。するとピラミッド外縁の傾斜角が決まります。エクセルでは、以下の式で計算します(単位は"度"で算出)。

 傾斜角 = DEGREES(ATAN(高さ/(底辺長/2))) = 51.841度(51度50分28秒)

PENDIENTE_PIRAMIDES.png


 石材の高さによって、ステップの幅が決まります。
 ステップの幅(B)の平均は53.7cmで、最大値は1段目の116.9cm、最小値は187段目の39.3cmです。

 最小のステップが39.3cmということは、ちょうど大人の男性の肩幅くらいしかないことになります。足を踏み外せば奈落の底まで真っ逆さま。

 ここで着目すべき点は、ピラミッドの傾斜角との関係で石材の高さよりもステップ幅が小さくなるということです。これがどういうことかというと、下のような石材運搬方法はあり得ないと言うことです。

Grate_Piramid05.jpg

Source: Carlos Eduardo Rodríguez Varona, "Hypothesis of Construction of the Pyramids of the Valley of Giza", WORLD-MYSTERIES.COM

 イラストはステキなのですが、この方法ではステップの幅が足りません。
 「絵に描いてみる」ということはとても重要なのですが、ステップの幅までは考えが及ばなかった?

 この案を考えた人はこのイラストを描く段階でステップの幅が足りないことに気づいていたと思います。気づいていながら自説を公表したということでしょう。

  大ピラミッドの各段の高さとステップ幅
段数1層の高さ(cm)差(cm)ステップ幅 (cm)累積高さ (m)
1148.80.0116.91.49
2124.7-24.198.02.74
3122.4-2.396.23.96
4111.8-10.687.95.08
5102.1-9.780.26.10
696.5-5.675.87.06
799.63.178.38.06
896.0-3.675.49.02
992.5-3.572.79.94
1091.4-1.171.810.86
1185.6-5.867.311.71
1275.4-10.259.212.47
1375.70.359.513.23
1474.7-1.058.713.97
1574.4-0.358.514.72
1673.4-1.057.715.45
1771.1-2.355.916.16
1879.07.962.116.95
1996.817.876.117.92
2059.7-37.146.918.52
2160.50.847.519.12
2287.627.168.820.00
2383.8-3.865.820.84
2482.3-1.564.721.66
2582.0-0.364.422.48
2678.2-3.861.423.26
2775.4-2.859.224.01
2874.2-1.258.324.76
2971.4-2.856.125.47
3071.60.256.326.19
3170.6-1.055.526.89
3266.8-3.852.527.56
3366.80.052.528.23
3466.5-0.352.328.89
35126.560.099.430.16
36104.4-22.182.031.20
3797.0-7.476.232.17
3892.2-4.872.533.09
3986.1-6.167.733.96
4081.0-5.163.634.77
4178.5-2.561.735.55
4271.1-7.455.936.26
4384.613.565.537.11
44104.419.882.038.15
4596.3-8.175.739.11
4669.3-27.054.539.81
4790.421.171.040.71
4890.2-0.270.941.61
4979.2-11.062.242.41
5071.1-8.155.943.12
5167.6-3.553.143.79
5266.8-0.852.544.46
5365.0-1.851.145.11
5465.30.351.345.76
5564.3-1.050.546.41
5663.0-1.349.547.04
5757.2-5.844.947.61
5872.615.457.048.33
5972.90.357.349.06
6071.4-1.556.149.78
6166.5-4.952.350.44
6262.0-4.548.751.06
6366.04.051.951.72
6465.0-1.051.152.37
6566.51.552.353.04
6660.2-6.347.353.64
6788.928.769.954.53
6877.7-11.261.155.31
6982.34.664.756.13
7070.6-11.755.556.83
7173.22.657.557.57
7265.5-7.751.558.22
7364.3-1.250.558.86
7477.212.960.759.64
7573.7-3.557.960.37
7659.9-13.847.160.97
7764.84.950.961.62
7860.2-4.647.362.22
7958.7-1.546.162.81
8061.22.548.163.42
8158.9-2.346.364.01
8259.20.346.564.6
8357.4-1.845.165.18
8470.613.255.565.88
8558.2-12.445.766.46
8666.88.652.567.13
8755.6-11.243.767.69
8858.73.146.168.28
8957.7-1.045.368.85
9097.840.176.969.83
9187.1-10.768.470.70
9284.1-3.066.171.54
9374.7-9.458.772.29
9466.3-8.452.172.95
9565.0-1.351.173.6
9658.4-6.645.974.19
9766.07.651.974.85
9895.329.374.975.80
9997.32.076.576.77
10090.4-6.971.077.68
10185.1-5.366.978.53
10269.6-15.554.779.22
10374.44.858.579.97
10466.8-7.652.580.64
10567.10.352.781.31
10663.5-3.649.981.94
10763.0-0.549.582.57
10874.411.458.583.32
10967.6-6.853.183.99
11058.9-8.746.384.58
11158.2-0.745.785.16
11261.23.048.185.77
11358.9-2.346.386.36
11458.4-0.545.986.95
11556.1-2.344.187.51
11668.812.754.188.2
11756.9-11.944.788.77
11890.433.571.089.67
11980.8-9.663.590.48
12075.7-5.059.591.23
12173.9-1.858.191.97
12266.0-7.951.992.63
12367.11.152.793.30
12461.7-5.448.593.92
12563.01.349.594.55
12658.4-4.645.995.14
12757.4-1.045.195.71
12857.90.545.596.29
12956.1-1.844.196.85
13067.611.553.197.53
13163.2-4.449.798.16
13258.9-4.346.398.75
13354.6-4.342.999.29
13457.93.345.599.87
13553.8-4.142.3100.41
13660.26.447.3101.01
13756.6-3.644.5101.58
13865.38.751.3102.23
13964.8-0.550.9102.88
14055.1-9.743.3103.43
14153.3-1.841.9103.96
14258.75.446.1104.55
14353.1-5.641.7105.08
14479.025.962.1105.87
14561.5-17.548.3106.49
14660.7-0.847.7107.09
14756.1-4.644.1107.65
14855.6-0.543.7108.21
14955.1-0.543.3108.76
15067.612.553.1109.44
15162.0-5.648.7110.06
15258.4-3.645.9110.64
15356.4-2.044.3111.20
15455.4-1.043.5111.76
15552.1-3.340.9112.28
15654.12.042.5112.82
15753.8-0.342.3113.36
15854.91.143.1113.91
15952.3-2.641.1114.43
16054.62.342.9114.98
16152.6-2.041.3115.50
16260.57.947.5116.11
16356.1-4.444.1116.67
16465.59.451.5117.32
16554.4-11.142.7117.87
16665.511.151.5118.52
16752.3-13.241.1119.05
16850.8-1.539.9119.55
16952.11.340.9120.07
17052.80.741.5120.60
17150.0-2.839.3121.10
17253.83.842.3121.64
17352.8-1.041.5122.17
17450.0-2.839.3122.67
17551.61.640.5123.18
17652.10.540.9123.71
17751.6-0.540.5124.22
17851.1-0.540.2124.73
17952.31.241.1125.26
18067.315.052.9125.93
18162.7-4.649.3126.56
18259.2-3.546.5127.15
18357.2-2.044.9127.72
18456.4-0.844.3128.28
18552.6-3.841.3128.81
18653.61.042.1129.35
18750.0-3.639.3129.85
18853.13.141.7130.38
18952.1-1.040.9130.90
19051.8-0.340.7131.42
19153.82.042.3131.95
19251.1-2.740.2132.46
19352.31.241.1132.99
19452.60.341.3133.51
19550.3-2.339.5134.02
19660.710.447.7134.62
19759.7-1.046.9135.22
19856.1-3.644.1135.78
19954.9-1.243.1136.33
20057.93.045.5136.91
20156.4-1.544.3137.47


トンネル仮説と二重らせん構造


 フランス人建築家ジャン・ピエール・ウーダン氏の提唱する「ピラミッドは内部トンネルで建造された」とする仮説は、とても説得力があり、管理人は、大ピラミッドは彼の仮説が示すように建造されたと考えています。(過去記事『世界遺産:ギザの三大ピラミッド(Giza Necropolis その6)』参照。)

 ウーダン氏の内部トンネル仮説は、一定の高さまでは傾斜路で盛り立て、途中から、傾斜角4度、延長1600mのらせん状のトンネル通路を造るというものです。

 では、この延長1600mのトンネルでどのくらいの高さまで石材を運べるのでしょうか。

 エクセルで計算すると、111.6mという値になります。(1600 x sin(4°))
 ピラミッドの高さは、146.59mです。トンネルは頂上までは作れないので、頂上より10m下までトンネルを造って石材を運んだと仮定すると、(146.59m - 10m -111.6m = 24.99m)、つまり、約25mの高さまではトンネルではなく、通常の斜路を使って石材を運ぶことになります。

 ウーダン氏のトンネル仮説はCGで見ることができます。ウーダン氏が監修したCGなので彼の考え方がCGの中にそのまま盛り込まれているはずです。

mediaplayer_conf3.gif


 管理人は、トンネルのサイズに着目します。トンネルを造るために、何段の石材を使っているのでしょうか。CGを見ると8段必要であることが分かります。石材の平均高さは68.4cmなので、0.684 x 8 = 5.47m。約5.5mの高さになります。

 トンネルはピラミッドの表面からどのくらい内側に造られたのでしょうか。CGを見ると、表面の化粧石を除いて8個分内側なことが分かります。石材を正立方体と仮定すると、上で示した高さと同じ値約5.5mとなります。

 ピラミッドの内側5.5mの位置に、傾斜角4度、総延長1600mのトンネルを造ることは本当に可能なのでしょうか。この計算はちょっとめんどくさい。暇な時にやってみます。

(この記事は書きかけです。まだまだ続きます。この記事に追記していきます。)

【出典】
1."DIMENSIONS AND MATHEMATICS OF THE GREAT PYRAMID "

posted by ネコ師 at 02:12 | Comment(0) | 古代の謎・歴史ヒストリー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年06月17日

なぜ、塔ノ沢に外国人観光客が宿泊しているのか?


 皇女和宮の足跡を訪ねて箱根湯本塔ノ沢温泉まで出かけた管理人。和宮が薨去した場所でなければ、絶対に訪れることはなかったと断言できます。

 箱根は観光地だし、箱根湯本は小田急ロマンスカーの終点なので、箱根湯本に多くの観光客が訪れる、あるいは通過するというのは分かります。

 でも、(管理人の感覚では)塔ノ沢はあまり知られていないのではないでしょうか。それなのに、宿泊している外国人観光客がいる。管理人にはこれがとても不思議な光景に映りました。

 塔ノ沢で管理人が最初に出会った外国人観光客は、「塔ノ沢一の湯本館」から出てきました。この旅館は、和宮が亡くなった環翠楼の真向かいに位置しています。

Tonosawa_nazo1.png


 恐ろしく手振れした写真ですが、右手奥に見えるのが「一の湯本館」、左手が「環翠楼」です。写っている30代とおぼしき白人女性は、やはり同年配と思われる白人男性と一緒でした。

Tonosawa_nazo_003.JPG


Tonosawa_nazo_004.JPG


 なぜ、彼らがここに泊まっているのかは聞いた訳ではないので分かりません。
 そこで、推測してみましょう。彼らが英語圏の人間だと推測するところから始めます。

Google検索は英語圏と日本とでは検索結果が違う

 アメリカに住むアメリカ人が旅行を計画した時に「塔ノ沢(Tonosawa)」という単語でGoogle検索した場合、結果がどのように表示されているのかを確認します。

 これは日本語のGoogle検索では調べることができません。表示言語を英語にしてもダメです。
 英語圏のGoogleを使って調べる必要があります。両者の検索結果の違いを見てみましょう。

【Google Japan】
Google_Japan.png


【Google English】
Google_English.png


 1.日本のGoogle(表示言語:英語)で「Tonosawa」を検索した結果

Google言語英語_Tonosawa.png


 2.英語圏Googleで「Tonosawa」を検索した結果

English_Google_Tonosawa.png


 2016年6月16日時点におけるGoogle英語版での表示順位は、1位が「金乃竹塔ノ澤」、2位が「塔ノ沢 一の湯 本館」で、いづれも世界最大の閲覧数を持つトリップアドバイザー(tripadvisor.com)のページで表示されています。3位と4位はいづれも「一の湯のHP英語版」、5位がオランダのweb旅行サービス会社(booking.com)で「金乃竹 塔ノ澤」が表示されています。6位がJTBの訪日外国人客向けサイト「JAPANiCAN.com」で「塔ノ沢 一の湯 本館」が表示されます。ちなみに、環翠楼HP英語版は14位に表示されています。

 英語圏ではこのような順位で表示されているので、2位、3位、4位、6位に表示されている「塔ノ沢 一の湯 本館」から外国人観光客が出てきても不思議ではないと言えます。

 一方、通常のGoogle検索(表示言語を英語にしても結果は同じ)で検索すると、1位、2位が一の湯のHP英語版、3位がbooking.comで「塔ノ沢 キャトルセゾン」、4位がトリップアドバイザーで「金乃竹塔ノ澤」、5位と6位がトリップアドバイザーで「塔ノ沢 一の湯 本館」、そして9位に環翠楼HPが表示されます。日本ではこのように表示されるのです。英語圏で検索するのと日本で検索するのではGoogle検索の結果が大きく異なることが分かると思います。

なぜ「一の湯 本館」が上位に表示されるのか

 次に、なぜ「一の湯 本館」が上位に表示されるのかを考えて見たいと思います。

 トリップアドバイザーでは宿のランキングが表示されます。「塔ノ沢 一の湯 本館」のランキングは箱根町で、235件中21位になっています。トップではありません。ちなみに、トップは「ハイアットリージェンシー 箱根 リゾート&スパ」になっています。値段がとても高そう。

ichinoyu1.jpg


 ここで重要となるのが、トリップアドバイザーのランキングの順にGoogleで表示されているわけではないという点。

 この理由として考えられるのが、「塔ノ沢 一の湯 本館」のHPがGoogleから高い評価を得ているということ。この旅館のホームページも上位に表示されています。トリップアドバイザー経由の表示も結局は旅館のホームページが表示されるので、ホームページのクオリティが上位表示に影響していると言えます。

 検索エンジンでこれだけ上位を独占している旅館なら泊まってみようと思う人、閲覧してみて気に入ったという人などもいると思います。


posted by ネコ師 at 16:50 | Comment(0) | 古代の謎・歴史ヒストリー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年05月31日

誰も答えることのできない「教えてgoo」に寄せられた不思議な質問


 「教えてgoo」をのぞいてみたら、とても不思議な質問を発見!

 『料理をしています。 写真、新聞紙のようなソースを版画みたいに描きたいのですがわかりますでしょうか?

 これは、ちょっと答えられそうにない超難解な質問です。
 心優しい回答者さんが、「ごめんなさい。理解不能です。」、「どういう意味なのか分かりません。」とギブアップ(笑)。 

 この質問のカテゴリーは、『教えて!goo > ライフ > 料理・グルメ > 料理レシピ >』です。

 管理人は、この手のサイトで質問したことがないのでよく分かりませんが、回答者さんの対応を見ているととても優しい方たちが集まっているのだなぁと、つくづく思いました。これが2chだと罵詈雑言を浴びせられると思います。

 質問の意味が分からない、と切り捨てるのは簡単ですが、もう少しがんばってみましょう(笑)。いつも一つの正解ばかりを追い求める小学生ではないのですから。

 この質問が超難解な理由は、二つの文節の間に何ら脈絡がないこと。

 最初は「料理をしています。」と、料理のテーマについての質問であることを明示しています。ところが、これに続く文節は、「写真、新聞紙のようなソースを版画みたいに描きたい」とあり、料理とはかけ離れたかなり悩ましい文章になっています。

 料理カテの質問なので、「ソース」とは食べるソース(sauce)と考えるのが普通でしょうが、ここではニュースソースのような「source」の意味で使っているようでもあります。

 次に悩ましいのが「版画みたいに描きたい」という部分。絵を版画みたいに描きたいというのなら分からなくもないのですが、「何を」にあたる部分が『写真と新聞紙』なので悩んでしまいます。

 さらに謎めいているのが「描きたいのですがわかりますでしょうか?」の部分。質問は、「描く方法を尋ねている」ということでしょうか。

 質問者の「パトラッシュ777」さんは、難解な文章を書いたつもりは毛頭ないのでしょう。
 もし、そうであるのなら、誤字の可能性があります。

 「写真、新聞紙のような題材を版画みたいに描きたいのですがわかりますでしょうか?」

 「ソース」を「題材」に置き換えてみます。これだと手段が抜けてしまうので、意味不明です。

 次に、「写真、新聞紙」の部分。普通、[新聞]とは書くかも知れませんが[新聞紙]と書くことはあまりないように思います。このあたりに誤入力がありそうです。

 ここで読点[、]を[の]に換えてみます。かな入力の場合、両者のキーは隣接しています。

「写真新聞紙のようなソースを版画みたいに描きたいのですがわかりますでしょうか?」

 この文章の場合だと、"添付の写真"に写っている新聞紙の中の「何か」の図柄をソースを使って描きたい、という意味にも取れます。

 この解釈の問題は、@誤入力、A写真の添付忘れ(誤操作)、B図柄とはどこにも書かれていない、など、仮定を持ち込みすぎている点です。

 このような場合、実際にやってみるのが一番。
 まず[写真]ですが、版画に適したイラストかロゴマークのようなものが新聞広告として載っていた、と考えます。

Nakajima_AC_ADV.png

Source: WIKIMEDIA COMMONS、中部日本新聞紙上に掲載された中島飛行機の広告、中部日本新聞 1944年5月13日紙面

 この左側の中島飛行機のロゴを版画のように皿の上に描きたい。
 すると、こんな感じになります。

中島飛行機ロゴ入り皿 dish nakajima aircraft


 イカスミなどを使ってシルクスクリーンで皿の上に絵を描くという技法があるようです。
 ネットで探しても見つかりませんが。

 以前書いた『不思議な求人『人気の妖怪予定派遣!』』という記事で、たった一文字の打ち間違いでとんでもなく面白い文章になってしまうということを紹介しました。

 関心のある方はご覧下さい。楽しめます。

 今回は、管理人が勝手に解釈して「疑似回答」を作ってみました。本当のところは質問者さんにしか分かりません。管理人が興味を持ったのはきれいな日本語だから。イタズラで書いているとは思えません。

 「パトラッシュ777」さんに質問文を訂正してもらえるとうれしいのですが。


posted by ネコ師 at 02:37 | Comment(0) | 古代の謎・歴史ヒストリー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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